特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
ということで書いてみる。
私にとっての「青春の一冊」はスティーブンキングの「シャイニング」です。
- 作者: スティーヴン・キング
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: Kindle版
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多分映画のほうが有名ですよね。ジャケットが凶々しすぎる。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: Blu-ray
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原作のあらすじ:コロラド山中にある「オーバールックホテル」の管理人として住み込むことになったジャック・ウェンディのトランス夫妻とその子供ダニー。ダニーには「輝き(shining)」という不思議な力があり、ホテルで様々な超常現象を目撃する。冬になり、雪によって外界から隔離されたホテルで家族3人だけの生活が始まる。
私は高校生の頃からスティーブンキングが大好きで、一番回数読んでいるのは「死のロングウォーク」なんですが、「青春の」とつくとこっちを挙げざるをえない。
なぜかというと、大学受験の前日、現地のホテルに宿泊したときにこれを読んで怖くて寝られなくなったからです。今でも覚えてますけど、泊まったホテルのフロントでわざわざ本屋の場所を聞いて買って読んだんですよ。前日だからもう勉強してもしょうがないと思って。映画を見たことがあって、それのインパクトがすごかったので迷わず買いました。ちなみに、映画より小説の方が何倍も怖いです。
本当は前編のみでやめて寝るつもりだったんですが(といいつつ本屋で前後編買ったw)、あまりに怖いのと先が気になるのとで結局3時ぐらいまでかけて読みきりました。前編の最後、生け垣彫刻のくだりは自分の読書史上最高に怖かったです。自分が完全にジャックになって雪の中の生け垣のうさぎが見えたもん。
幸い大学は合格できましたが、なぜわざわざあそこでよりによってあの本を選んだのか、自分で自分を呪いました。
で、最近Kindle版がセールをしていたので買って久々に読んでみました。大人になって読むと、予備校生の頃とはまた違った印象を受けます。
当時でも人が少しずつ狂うさまは怖かったのですが、ジャックが持つ、アル中だったこと、それによって仕事を失った怒り、断酒の苦しみ、ダニーを傷つけた罪悪感、自分の両親へのわだかまり、といった様々な激情を超常現象によって巧みに刺激して狂わせているのが今読むとよく分かる。結局彼は彼なりに家族を守ろうとしただけなのに、逆にそのせいで正気が失われてしまうのは悲しいとしかいいようがない。超常現象はきっかけにすぎず、結局は人間の弱さとか悪意によって悲劇が起こる、というのはキングの小説ではよくあると思いますが、これはその真骨頂という感じ。そして20年経ってもなお、あの生け垣彫刻ちょー怖い。
と、こんなふうに年齢や経験を積み重ねることによって違った面白さを堪能できるのが本のいいところだと思っています。だから同じ本を何度も読み返すのが好き。そういう意味では、シャイニングは初めて読んだのが若いときだったので一粒で何度もおいしい一冊です。