ずっと気になっていたのをやっと読んだ。
ちゃんとした文章にしようとすると時間がかかって鮮度が落ちるので、箇条書きで感想を書く。
- 「過去1世紀にわたるバッタに関する論文を読み漁ってきた」とサラッとすごいことが書いてある。私も(研究者じゃないけど)もっと読まないとなあ
- 観察して傾向が見える→仮説を立てる→立証するために必要なデータを洗い出す→データを取るために必要な手続きを考える、という流れは完全にインテリジェンスだよなあ。いやこっちが源流なんだけど。再現性を高めるために、実験をシンプルにするというのも良い。フィールドワークでしか分からないことがある、というのもHUMINTやGround Truthに通じるものがある
- 生物系は実験が大変。プログラムなら100回実行しても同じ結果が返ってくるわけだけど、これは気候や人的な何かやらで簡単に結果が変わってしまうし、何が原因か特定するのも難しい。というかチャンスも少なすぎる。2年あったって実験できるのは数回あればいい方、みたいな。昔環境研の一般公開を見に行ったときに、東北の海底の環境の変化を観察している研究者がいて、明らかに変化はあるんだけど、それが地震のせいなのか漁業が止まっているからなのか分からない、そもそも地震以前の詳細なデータがないので比較が難しい(正常系のデータも大事だよね分かるわー)、海水を分析したくても持ち帰るのは大変だし持ち帰れたとしても放射性廃棄物になっちゃうから廃棄できない、と言っていて、IT系で良かった・・と思ったのを思い出した
- バッタがうまく見つけられず絶望して追い詰められても、たまたま集めておいたゴミダマに活路を見出し、予備実験が失敗してもトライアンドエラーできっちり結果を得るしたたかさ。雌雄の判別方法を見つける過程もすごい。めちゃくちゃ笑った
- ポスドクの悲哀。私も研究機関の技術職員をやっていた時、ポスドクの若手の人たちがテニュアになるために苦労していたのを見ていたので雰囲気は分かる。著者のプロフィールを見ると、今はつくばの研究機関の主任研究員(てテニュアだよね)みたいなので良かった。つうか地元
- 週末にめんつゆのお湯割りを飲むのがなによりの贅沢、とあったけど、青年海外協力隊で中米にいた頃そういう苦労はなくてラッキーだった。中南米もアフリカも遠いけど、なんとなくアメリカに近い中南米よりアフリカの方が過酷だろうと思っていた。モーリタニアは食事はおいしいみたいだけど、出汁が欲しくなるのすごい分かる
- そういえばモーリタニア産のタコってたまに見る。現地の人は食べないのか
- 憧れのファーブルの生家に行く話がとてもよかった。聖地巡礼って興奮するよね分かる
- 諦めずに何かを続けていると、思いもよらないチャンスが目の前に転がってくることがあって、それをためらいなくつかむにはバイタリティがいる。この著者もそうだし、自分が尊敬する人はこの手のバイタリティがある人。自分もかくありたい